【横須賀】脱石炭を求め、原告の3分の2が東京電力から切り替え済み! 横須賀石炭火力発電所着工から1年にあたって

<プレスリリース>

2020年7月31日

石炭火力を考える東京湾の会
横須賀石炭火力発電所訴訟原告団

脱石炭を求め、原告6割が東京電力から切り替え済み!
横須賀石炭火力発電所着工から1年にあたって

 横須賀石炭火力発電所訴訟原告団は、横須賀石炭火力発電所着工から1年にあたり、被告である国や事業者JERAに対し、「石炭火力で作られた電気はいらない!」との意思を示すため、東京電力(事業者JERAに出資)からの契約切り替えを呼びかけました。

 すでに、7月31日時点で原告48人(42世帯)中、29人(25世帯)と、約3分の2の人が東京電力から切り替えていることがわかりました。また、現時点で明確に切り替えの意向を示している7世帯も含めると、原告全体の70%以上が近日中に東京電力から切り替えることになります。このうちの半数以上は、自然エネルギーを重視する電力会社を選択しています。

 現在、石炭火力を考える東京湾の会では、新型コロナウイルスで行動範囲が狭まる中、パワーシフト・キャンペーンと連携して電力会社切り替え(自然エネルギー選択)の意義を学ぶオンライン勉強会を開催したり、原告メンバーや訴訟サポーターを対象に電力会社の契約切り替えを呼びかけたりしています。原告団は今後、裁判のサポーターや横須賀・三浦半島、対岸の千葉や関東圏の市民に対し、自然エネルギー電力会社への切り替えを呼びかけ、脱石炭の流れを市民から作り出していきたいと考えています。

約3分の1の人が自然エネルギー重視の会社に切り替え済み

 勉強会を受けて、自然エネルギーを重視する電力会社に切り替えた本行政訴訟の原告の一人である岸牧子さん(横須賀市野比)は、「原発事故以降、東電は嫌だと思っていた。そこに石炭火力が来て余計にありえないと思った。一方で、電気を切り替えることで再エネ普及を頑張っている人を応援できることも知って、電力会社を切り替えた」と動機を話します。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、工事は着々と進み、4月には2号機も着工しました。工事の勢いは増し、建設地の近隣住民からは「感染予防のために部屋の換気をしたいのに、窓を開けたら工事音がひどくて開けられない」など、騒音被害も出ています。

クレーンも乱立しの数も増え、着々と工事が進む現場(2020/7/21撮影)

 裁判の進捗についても、6月26日には第四回期日が開廷されましたが、一年経った今も、被告(国)が訴訟要件に関する答弁書を出したきり、裁判の引き延ばしをはかっているため、本論に進んでいません。

 今年の梅雨は例年になく強い雨が続き、今回の豪雨によって、熊本県を中心に82人が死亡、4人が行方不明、全国27の県で合わせて1万6700棟余りの住宅が水につかるなどの被害が出ていると報告されています(2020年7月27日現在)。

 気候変動の影響が顕在化する中、新たに温室効果ガスを排出する発電所の新設は、到底許されるものではありません。そもそもこの計画は、平均気温の上昇を1.5度未満に抑えようとする、国際的な気候変動対策の枠組みであるパリ協定に反するものです。

 また一方で、石炭火力発電所のような”高炭素”の電力は消費者離れが進み、今後は、電力ユーザーが積極的に気候変動への影響がより少ない自然エネルギーを選択していく時代になるでしょう。石炭火力発電所は、今後建設が進んでも、将来「座礁資産」への道を進むことになる可能性が非常に高い電源です。原告一同、事業者に対し、横須賀石炭火力発電所の建設工事の中止を求めます。

本プレスリリースに関するお問い合わせはこちら
鈴木陸郎(TEL:080-5933-7487)

プレスリリース(PDF)

横須賀石炭火力訴訟とは?

(仮称)横須賀火力発電所新1・2号機を建設・稼働する計画(1号機:2023年、2号機:2024年稼働予定)において、環境影響評価書の変更は必要ないとした経産大臣の通知の取り消しを求める行政訴訟です。原告は、①パリ協定を達成するためには石炭火力発電所の新設が許されないから、②環境アセスメントを簡略化したのは不当だから、③環境アセスメントで検討された内容が不十分だから、の三点から国の対応の違法性を訴えています。

本行政訴訟は、2019年5月27日に提訴し、2020年6月26日に第四回期日を終了しました。
次回期日は、2020年10月14日(水)14:00より東京地方裁判所にて開廷予定です。