【袖ケ浦】3大銀行+農林中金に千葉袖ケ浦火力発電所(仮)への融資について質問を送付

2018年11月19日、袖ケ浦市民が望む政策研究会、石炭火力を考える東京湾の会、NPO法人気候ネットワークは、(仮称)蘇我火力発電所の建設稼働に対しての融資の方針について、事業者である千葉袖ケ浦エナジー株式会社の共同出資企業である東京ガス株式会社と九州電力株式会社、出光興産株式会社の大手取引銀行である みずほフィナンシャルグループ(みずほ銀行)、三井住友フィナンシャルグループ(三井住友銀行)、三菱UFJフィナンシャルグループ(三菱UFJ銀行)および出光興産株式会社の取引銀行である農林中央金庫に対し、「石炭火力発電事業への対処方針に関するお願いとご質問」を送付しました。

地域住民にとって最も大事なポイントは、近隣で計画されている計画に対して融資がなされるのか、融資検討にあたっての詳細事項です。横須賀千葉に続いて、袖ケ浦からも今後の各行からの対応を求め、このWEBサイトでも報告していきたいと考えています。

また、本計画に関しては、東京ガスおよび九州電力が石炭火力ではない方法での変更も検討していると表明していますが、出光興産は本件での立場を全く表明していません。出光興産との取引がある農林中央金庫に対してもその対処方針を確認することとしました。以下は農林中央金庫へのレターを掲載しておきます。

貴行における石炭火力発電事業への対応方針に関するお願いとご質問

貴行におかれましては、赤道原則に署名されており、持続的環境維持の配慮を含め、公共的責任と広範な社会的責任を認識して投融資をされると謳っておられます。

ご承知のとおり、2016年11月に発効したパリ協定では、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」という長期目標が掲げられました。先月公表されたIPCC特別報告書『1.5℃の地球温暖化』では、2℃以上ではなく、1.5℃に抑えることによって多くの気候変動の影響が回避できることが強調され、今後、脱炭素に向けた取り組みが加速することが予想されます。

こうした流れにおいて、二酸化炭素の排出量が大きい石炭火力発電所に対する反対の声が年々高まっており、金融機関が石炭火力から投融資を撤退する動きも目立ってきました。日本においても、本年に入って3メガバンクが石炭火力発電所への融資に関するポリシーを制定した他、三井住友信託銀行、りそな銀行が新規石炭火力発電所への融資は行わない旨を公表しています。貴行におかれましても、一刻も早く石炭火力発電所への投融資を行わないことを宣言されることを切に願います。

加えて、私たちは、袖ケ浦市中袖に建設予定の「(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所」の計画に対して、地域の大気汚染の悪化や地球温暖化に対する影響について大きな懸念を抱いており、建設に強く反対をしています。同火力発電所は、貴行が主要銀行として取引されている出光興産株式会社が共同出資した株式会社千葉袖ケ浦エナジーによる事案であり、貴行に融資の打診が来る可能性が高いと考えております。仮にそのような場合でも、パリ協定の下で目指される脱炭素社会の実現に向け、融資を差し控えるご決断をして下さるよう強くお願いいたします

関連して、今後の貴行の方針につきまして、確認をさせていただきたいことを次頁に取りまとめました。これに対しご回答をいただきたく、お願い申し上げます。また、本件について、ぜひ私たちと対話を持っていただきたくお願いいたします。

1)(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所への融資の可能性

貴行におかれまして、(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所の建設計画に融資を検討される可能性はありますでしょうか。

 

以下は、検討される可能性がゼロではない場合に、確認をさせていただきたい事項です。

 

a)代替案分析について

貴行が署名している赤道原則では、温室効果ガス排出量が CO2換算で年間 10 万トン超になると見込まれるプロジェクトについては代替案分析を実施することとしています。(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所の年間CO2排出量は推計で1,200万トン超であり、この対象となりますが、代替案分析はされるのでしょうか。またその結果、融資を見送るという可能性はあるのでしょうか。

b)ステークホルダー・エンゲージメントについて

ステークホルダー、特に地域住民の意見は事業者が優先して配慮すべき事項です。(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所は、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンが実施した意識調査によれば、8割以上の人が建設計画を知らず、十分に周知しているとは言い難い状況にあります。その中で、出資者の一つである東京ガス株式会社は、地元の反対運動などを受け、石炭火力発電所の建設には慎重な検討を行うとの立場を示し、石炭火力を考える東京湾の会と直接意見交換の場を設けるなどしており、計画撤廃あるいは変更に対する地域住民の期待は高まっています。

この状況について、貴行はどのように受け止められますか。また改善に向けた支援などをしていただけるのでしょうか。

c)周辺住民の人権について

現在日本で実施されている環境アセスメントでは、周辺住民への人権等は、評価対象になっていないため、人権に関してどのような検討がされたか不明です。しかし、(仮称)千葉袖ケ浦火力発電所は、設備容量が200万kW(100万kW×2基)と、東京湾沿岸で計画されている石炭火力発電所の中では群を抜いて大きく、周辺住民への影響は無視できません。この点について、貴行は審査の際にどのように判断されるのでしょうか。

d)パリ協定との整合性について

パリ協定の発効以降、赤道原則に対しても、パリ協定との整合を求める声が世界中から寄せられるようになっています。この状況において、貴行としては、投融資案件審査において、石炭火力(超々臨界)の継続ということとパリ協定との整合性について、今後どのようにお考えでしょうか。

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