【横須賀】3大銀行に横須賀火力発電所新1・2号機への融資について質問を送付

2018年11月14日、横須賀火力発電所建設を考える会、石炭火力を考える東京湾の会、NPO法人気候ネットワークは、横須賀火力発電所新1・2号機の建設稼働に対しての融資の方針について、事業者である株式会社JERAの共同出資企業である東京電力フュエル&パワー株式会社と中部電力株式会社の大手取引銀行である みずほフィナンシャルグループ(みずほ銀行)、三井住友フィナンシャルグループ(三井住友銀行)、三菱UFJフィナンシャルグループ(三菱UFJ銀行)の3行に対し、「石炭火力発電事業への対処方針に関するお願いとご質問」を送付しました。

各行とも石炭火力発電事業に対する融資の方針を今年6月頃に示していますが、地域住民にとって最も大事なポイントは、近隣で計画されている計画に対して融資がなされるのか、融資検討にあたっての詳細事項です。今後の各行からの対応については、このWEBサイトでも報告していきたいと考えています。

貴行における石炭火力発電事業への対応方針に関するお願いとご質問

貴行におかれましては、赤道原則に署名されており、また「特定セクターに対する取組方針」を定め、慎重に取引を判断することで、環境・社会への負の影響を低減・回避するよう努めることを謳われており、石炭火力発電所に関しましても、以下の方針を掲げられています。

主として温室効果ガス排出に関わる技術が、同等のエネルギー効率を持つ実行可能な代替技術と比較しても、経済合理性を踏まえて適切な選択肢であるか等を検証したうえで、与信判断を行います

方針を策定・開示されたことは、貴行が、気候変動の影響の大きさ、そして世界的な脱石炭の流れを理解されている表れと歓迎しております。

その一方で、現在日本で計画されている大型石炭火力発電所は省エネ法で発電事業者に要求されているBATを満たす超々臨界であり、上記方針であれば、貴行はなお融資を続けるものと理解されます。

私たちは、横須賀市久里浜に建設予定の「横須賀火力発電所」の計画に対して、地域の大気汚染の悪化や地球温暖化に対する影響について大きな懸念を抱いており、建設に強く反対をしています。横須賀火力発電所は、貴行が主要銀行として取引されている、東京電力フュエル&パワー株式会社と中部電力株式会社が共同出資した株式会社JERAによる事案であり、貴行に融資の打診が来る可能性が高いと考えております。仮にそのような場合でも、パリ協定の下で目指される脱炭素社会の実現に向け、融資を差し控えるご決断をして下さるよう強くお願いいたします

関連して、今後の貴行の方針につきまして、確認をさせていただきたいことを次頁に取りまとめました。これに対しご回答をいただきたく、お願い申し上げます。また、本件について、ぜひ私たちと対話を持っていただきたくお願いいたします。

確認・質問事項

1)横須賀火力発電所への融資の可能性

貴行におかれましては、横須賀火力発電所の建設計画に融資を検討される可能性はありますでしょうか。

以下は、検討される可能性がゼロではない場合に、確認をさせていただきたい事項です。

a)代替案分析について

貴行が署名している赤道原則では、温室効果ガス排出量が CO2換算で年間 10 万トン超になると見込まれるプロジェクトについては代替案分析を実施することとしています。横須賀火力発電所の年間CO2排出量は726万トンであり、この対象となりますが、代替案分析はされるのでしょうか。またその結果、融資を見送るという可能性はあるのでしょうか。実際に、横須賀では県の環境審議会でUSCより高効率の石炭ガス化複合発電(IGCC)の導入が可能ではないのか等議論されていました。

b)ステークホルダー・エンゲージメントについて

ステークホルダー、特に地域住民の意見は事業者が優先して配慮すべき事項です。横須賀火力発電所は旧設備が2014年4月以降全面停止していたのにもかかわらず、旧設備のフル稼働時の環境負荷と比較していることに対し、地域住民等が環境アセスメントのやり直しを再三訴えているにもかかわらず、誠実な対応はついに見せて頂けませんでした。また、気候ネットワークと国際環境NGOグリーンピース・ジャパンが共同で実施した住民意識調査では、75%以上の人が計画を「知らない」と回答するなど、周知も十分とは言えない状況です。こうしたことを受け、横須賀火力発電所建設を考える会では、株式会社JERAに対して建設計画の中止を求める署名活動をスタートさせています。

この状況について、貴行はどのように受け止められますか。また改善に向けた支援などをしていただけるのでしょうか。

c)周辺住民の人権について

現在日本で実施されている環境アセスメントでは、周辺住民への人権等は、評価対象になっていないため、人権に関してどのような検討がされたか不明です。しかし横須賀火力発電所では多くの住民が石炭火力発電所の建設、稼動による悪影響を懸念している実態があります。融資を検討される際には、この点について、貴行は審査の際にどのように判断されるのでしょうか。

d)パリ協定との整合性について

パリ協定の発効以降、赤道原則に対しても、パリ協定との整合を求める声が世界中から寄せられるようになっています。この状況において、貴行としては、投融資案件審査において、超々臨界の継続ということとパリ協定との整合性について、今後どのようにお考えでしょうか。

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