【袖ケ浦】千葉袖ケ浦のLNG火力建設計画から九州電力が撤退 ~気候危機回避のため東京ガスは事業計画から撤退を~
本日2022年6月15日、石炭火力を考える東京湾の会は、千葉袖ケ浦のLNG火力建設計画から九州電力が撤退を表明したことを受けて以下の声明を発表しました。
声明
2022年6月15日
千葉袖ケ浦のLNG火力建設計画から九州電力が撤退
~気候危機回避のため東京ガスは事業計画から撤退を~
石炭火力を考える東京湾の会
袖ケ浦市民が望む政策研究会
NPO法人気候ネットワーク
国際環境NGO FoE Japan
本日6月15日、千葉県袖ケ浦市で計画されているLNG火力発電所(最大200万kW)の事業から九州電力が撤退すると発表した。その理由について、「エネルギー情勢については、世界規模の混乱が続いている中で、燃料市場、電力市場を含め当該プロジェクトを取り巻く諸情勢を総合的に判断した」としており、この決断に敬意を表したい。
一方、東京ガスは、九州電力が撤退を決めたにも関わらず、引き続き本事業を検討していくとし、事業の継続を表明している。
本事業は、2015年石炭を燃料とする火力発電所の計画だったが、2019年1月に十分な事業性が見込めないとの判断から断念すると発表され、共同出資者であった出光興産株式会社が事業から撤退した。その後事業計画は石炭から天然ガスへと燃料が変更され、2020年に方法書が公表、今年になって準備書が公表されている。2028年からの運転開始を見込んでいるが、準備書によれば、3基の合計で472万トンものCO2を排出する。しかし、気候変動の悪化は想像を上回る勢いで進行しており、IPCC第6次評価報告書では、現在気温上昇を1.5℃の上昇にとどめるための経路になく、直ちに大幅な削減が求められると報告される中、新たに追加的な大規模排出源を増やせる余地はどこにもない。
現在、ウクライナ情勢をめぐる電気代の高騰や電力不足など、エネルギーをめぐる問題が様々顕在化する中、日本において対応すべきは、省エネの徹底でエネルギー消費量を大幅に削減し、再エネ電源を増やすとともに電力系統の柔軟性を高める対策を講じ、エネルギー自給率を高めることであって、火力発電所の増設ではない。
東京ガスには、将来世代にとって大きな負荷となるような新たな大規模排出源となるLNG火力発電所の建設計画を中止する決断をし、再生可能エネルギーへの転換や地域の脱炭素化を支援する形での持続可能な電力システムの構築に貢献する企業へと方針転換することを期待したい。
参考