【横須賀】横須賀火力発電所への融資撤回申し入れに日本政策投資銀行から返信

2019年3月、石炭火力を考える東京湾の会は横須賀火力発電所新1・2号機計画へ融資を行っている日本政策投資銀行及び民間の5つの銀行に対して融資撤回を求める申し入れを送付し、日本政策投資銀行に対してあわせて面会の依頼をしました(2019/3/26【横須賀】(仮称)横須賀火力発電所新1・2号機計画に対する融資撤回を求める申し入れ)。

この度、日本政策投資銀行から返信をいただきましたのでご報告します。

 

◼️日本政策投資銀行「守秘義務の観点から個別案件への回答できない」

書面で返信があり、守秘義務の観点から個別案件についての回答はできず、書面を以て面会に代えるという回答でした。

以下、回答全文

石炭火力を考える東京湾の会御中

2019年4月17日
株式会社日本政策投資銀行
経営企画部

拝啓

時下、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

ご連絡を頂いております件につき、誠に申し訳ございませんが、守秘義務の観点から個別の案件に対するご回答を差し上げることができません。以下におきましては、弊行グループのエネルギー分野における投融資の基本的姿勢につき、ご面会でのご説明に代え、書面にて回答致します。ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。

弊行グループは、経済価値と社会価値の両立というサステナビリティ経営の基本理念に立脚し、エネルギー分野において、長年、安定供給確保と環境負荷低減の双方に寄与する投融資を心がけてまいりました。

今後も、国際的な気候変動にかかる議論やOECD公的輸出信用アレンジメントを考慮しつつ、3E+S(Energy Security/Economic Efficiency/Environment/Safety)を基本方針とするわが国エネルギー政策を踏まえたうえで、安定供給確保と環境負荷低減・気候変動対策の両立を目指します。

具体的には、再生可能・代替エネルギーについては、風力・太陽光や新規送電網、水素等に対するリスクマネー供給をさらに進め、導入促進に貢献する一方、温室効果ガス排出量の多い石炭火力発電の新規プロジェクトについては、環境負荷低減の観点から、超々臨界またはそれ以上の高効率の発電設備であるか等、慎重に検証のうえ、取り組んでまいります。

敬具

 

住民の訴えに耳を!投融資の基本姿勢にも問題あり

今回の申し入れに対しては、返信があったものの面会には至りませんでした。そもそも個別案件について回答できないとしても市民の訴えを聞く場を設けることは可能であり、実際に2018年11月に質問書を送付した際は、三井住友銀行などが個別案件への回答はしないとの前提のもとで市民側との面会に応じています(2019/2/6【報告】みずほ、三菱UFJ、三井住友、農林中金の回答及び対応について)。1兆円を超す多額の税金が投入されているにも関わらず、市民とのコミュニケーションを取ろうとする意識が希薄であることは非常に残念です。

また、超々臨界(USC)かそれ以上の技術を用いた石炭火力発電所計画を投融資の対象としていますが、超々臨界であっても天然ガスのおよそ2倍にも及ぶCO2を排出し、大量の大気汚染物質の拡散も懸念され、甚大な環境負荷は免れません。これから省エネと再エネの拡大によって電力消費量が低減していくことを考えると、横須賀火力発電所のように巨大で環境負荷の大きい設備の必要性はありません。この計画に対する融資は同行の言う「安定供給と環境不可低減の双方に寄与する投融資」とは反するものです。

横須賀火力発電所は5月7日に準備工事を開始しました。8月には本格的に工事が着工し、2022年には1号機の試運転をする予定とされ、残された時間はわずかです。そのような中、計画を中止に追い込むためには銀行の役割は非常に重要であり、各行は石炭火力の問題を直視し、一日も早く融資を再考するべきです。石炭火力を考える東京湾の会は、引き続き銀行に対して訴えを続けていきます。

なお、日本政策投資銀行のほか、みずほ銀行から申し入れを受領した旨の連絡をいただきました。