【袖ケ浦】(仮称)袖ケ浦火力発電所新1~3号機建設計画 環境影響評価手続きへの意見を提出しました

(株)JERAが公表した「(仮称)袖ケ浦火力発電所新1~3号機建設計画 環境影響評価手続き」に対して、袖ケ浦市民が望む政策研究会は、以下の論点で意見書を提出しました。天然ガスは化石燃料であり、大量のCO2を排出するほかにも様々な観点から非常に問題の多い計画です。

(仮称)袖ケ浦火力発電所新1~3号機建設計画 環境影響評価手続きについての意見

●気候危機の現状と本計画への疑問

気候変動による水害や干ばつが世界各地で人命・財産を脅かしています。そのような状況下で、発電端熱効率約64%のGCC火力であっても、大量のCO2を排出し地球温暖化を加速させる点を軽視していることに強い疑問を抱きます。

●東京ガスのLNG火力計画との比較
  • 東京ガスは隣接する出光興産バルクターミナルで、2029年から同じガスコンバインドサイクル(GCC)火力を運用予定。
    • アセスを見直し、空冷方式を採用し温排水を出さない方法を採用
    • 煙突高さ100mを採用
      → 気候変動対策として非常に問題は多いものの、一定の環境配慮姿勢が見られる。
  • 一方、本計画では海水冷却を採用し、煙突高さは80mでも問題ないと強調。近隣住民や海洋生物環境への配慮が欠けている。
●東電・JERAの企業姿勢への疑問
  • 原発事故後処理や再稼働問題、汚染水放流などで企業姿勢に不信感がある。
  • 子会社JERAは「CO2排出削減に努める」と記載する一方で、横須賀に石炭火力を建設・運転開始。言行不一致ではないか。
  • 2032年運用開始は、2030年のNDC目標や2050年カーボンニュートラルと整合しているのか疑問。石炭火力の停止計画も示されていない。
●再エネ強化の必要性
  • 五井火力・姉崎火力はすでにGCCに更新済みで電力は足りている。
  • 真に必要なのは系統安定用蓄電池と再エネ電力の強化。
  • 大企業であるにもかかわらず、再エネ投資が乏しい姿勢は残念。
●本計画の具体的な問題
  1. CO2排出を軽視し、煙突高さ80mを容認する姿勢。
  2. 海水冷却による海洋生物環境への悪影響。
  3. メタン産出地での環境汚染・輸送時のCO2排出への記載欠如。
  4. NOx対策のアンモニアが光化学スモッグ要因となる懸念。
  5. LNGタンクの短期保存制約による電源不安定性。
  6. 輸入燃料依存による国富流出。
  7. 地球規模の災害を直視せず、既存体制に固執する経営姿勢。
●経済的視点
  • 日本のエネルギー赤字はG7最大。2023年の貿易収支赤字は26兆円。
  • 化石燃料依存による外貨流出は大きな問題。
  • 原発再稼働が赤字削減に寄与するかのように報じられるが、事故経験から学ばない姿勢は悲しい。
●世界の流れと今後の方向性
  • 太陽光パネル技術や省エネ住宅の進展により、再エネ強化は必須。
  • 石炭火力の廃止日程を明確にし、再エネ主電源化に挑戦すべき。
  • 非電力産業も電力分野に進出しており、既存体制に固執すれば競争に敗れる可能性が高い。

再エネに背を向け、国富を浪費する火力計画は未来の市民から「国益を損なうもの」と評価されるでしょう。厳しい表現ではありますが、世界の流れを直視し、持続可能な経営方針を定めることを強く求めます。

以上