【声明】JERA「ゼロエミッション2050」「JERA環境コミット2030」について ~本気で実現を目指すなら横須賀石炭火力の建設中止を~
2020年10月16日、東京湾の会では、JERAの「ゼロエミッション2050」「JERA環境コミット2030」に対して以下の声明を発表しました。
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2020年10月16日
石炭火力を考える東京湾の会声明
JERA「ゼロエミッション2050」「JERA環境コミット2030」について
~本気で実現を目指すなら横須賀石炭火力の建設中止を~
2020年10月13日、(株)JERAはウェブサイトにて「2050年におけるゼロエミッションへの挑戦について」を公表しました。「国内最大の発電事業者として、低炭素社会の実現を積極的にリードしていく立場にあることから、これまでの取り組みを一層加速させるとともに、長期的に目指す姿を明確にすべく、「JERAゼロエミッション2050」を掲げることとしました」とされています。これまで、JERAでは長期的な方針を示していなかったため、今回はじめて2050年の「ゼロエミッション」を掲げたことは歓迎・評価したいと思います。
しかし、この内容を見ると、残念ながら、横須賀石炭火力発電所のように現在建設を進め2023年、2024年に稼働予定の計画を中止するといった方針が含まれていません。国連では、パリ協定の1.5℃目標を達成するには、2020年以降に新たな石炭火力を動かす余地はどこにもない、ということ示しています。また、1.5℃目標と整合する排出経路をたどるには、OECD諸国は2030年までには全ての石炭火力を全廃することが必須だとされています。もしJERAが「日本のみならず世界のエネルギー問題を解決していくグローバル企業」と自称するならば、こうした世界の要請に対して解となる石炭火力発電所への対応を示すべきです。
JERAの新たなロードマップでは、石炭火力に関して「2030年までに当社の保有するすべての非効率な石炭火力発電所(超臨界以下)を停廃止すること」や「火力発電所における化石燃料とアンモニアや水素の混焼と、その混焼率を徐々に引き上げていくこと」などを掲げていますが、そもそもJERAとして保有する「非効率石炭火力」と言われる超臨界(SC)は1箇所しかなく、その他の火力も「混焼」を進めて維持するということでは、2030年までに石炭をゼロにしなければならないという世界の要請からはあまりにもかけ離れています。
現在、横須賀の石炭火力発電所をめぐっては、石炭火力を考える会のメンバーほか地元住民や漁業者が行政訴訟を提起し、裁判が進行中です。この間にも久里浜での工事は着々と進められており、気候変動を憂う市民はこの工事が止まることを心から願っています。また今年2月からは学生たちによるFridays For Future Yokosukaの活動もさかんに行われ、横須賀石炭火力発電所が将来世代の安定した気候の中で生きる権利を奪うものであることを訴えています。
私たちは、JERAが新規石炭火力発電所を含む火力発電所の建設を中止し、「2050年におけるゼロエミッション」が、さらに野心的な真のゼロエミッションに向けた方針に進化することを心より期待しています。
JERA(2020/10/13)「2050年におけるゼロエミッションへの挑戦について」
石炭火力を考える東京湾の会声明「JERA「ゼロエミッション2050」「JERA環境コミット2030」について ~本気で実現を目指すなら横須賀石炭火力の建設中止を~」(PDF)