【プレスリリース】JFEスチール&中国電力、蘇我石炭火力発電所計画を中止に ~石炭火力計画の中止を歓迎する。残る計画は34基に~
本日12月27日、中国電力とJFEスチールが蘇我火力発電所の建設計画中止のプレスリリースを発表しました。これに対して、石炭火力を考える東京湾の会、蘇我石炭火力発電所計画を考える会、気候ネットワークの連名で以下のプレスリリースを発表しました。
共同プレスリリース
JFEスチール&中国電力、蘇我石炭火力発電所計画を中止に
~石炭火力計画の中止を歓迎する。残る計画は34基に~
2018年12月27日
石炭火力を考える東京湾の会
蘇我石炭火力発電所計画を考える会
特定非営利活動法人 気候ネットワーク
12月27日、中国電力株式会社並びにJFEスチール株式会社は、千葉市蘇我地区で計画していた「(仮称)蘇我火力発電所建設計画」を中止し、天然ガス火力発電所共同開発の事業実現性検討に着手することを発表した。中止の理由について、「本計画は十分な事業性が見込めない」とホームページ上で公表しており、その判断について歓迎したい。年間642万t以上に及ぶと推計され、約130万世帯分の排出が回避された。
本計画は、107万kWの石炭火力発電所を千葉市蘇我地区に建設する計画で、2024年の運転開始を目指し、2016年より環境アセスメント手続きが開始された。計画地周辺は、大気汚染公害に悩まされてきた地域で、現在も製鉄所からの粉塵などに悩まされており、大気環境への悪影響が大きい石炭火力発電所を建設する計画に対して、懸念の声が多数の地元市民からあがっていた。2017年4月には、地元住民が中心となり、「蘇我石炭火力発電所計画を考える会」が発足、地域住民への呼び掛けや、石炭火力を考える東京湾の会、環境NGOなどとともに事業者へ計画中止を求める要望の送付や、意見交換などを複数回にわたって行ってきた。2017年には環境アセスの配慮書手続きへの環境大臣意見において、「再検討」という厳しい意見が送付されたが、事業者は、2018年1月に環境影響評価方法書の手続きを開始した。住民説明会、住民意見は、環境アセスの手続きが進むほど、大きく反対の声があがるようになっていた。
本計画の問題点として(1)気候変動問題に対して世界の脱石炭の潮流に逆行していること、(2)大規模な石炭火力発電所は大気汚染問題も深刻で、PM2.5や水銀が拡散すること、(3)サッカースタジアムや、学校、病院なども多いこと、などがあげられていた。とりわけ、この1年半は、地元団体が中心となり各団体と連携し、JFEスチール前でのアクションなどを展開し、「石炭火力の建設は容認できない」と要請が行われてきた。今回の中止は、パリ協定のもとで脱炭素社会の早期実現を願う、地元市民、環境NGOが粘り強く求めてきたものである。
これから求められるのは、持続可能な社会の構築に向け、省エネルギーと再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギーシステムに移行することである。次なる検討にあたっては、天然ガスへの事業検討の開始が発表されているが、地元住民の声を真摯に受け止め、周辺環境の改善への取り組みや、再生可能エネルギーの導入を検討することを求めたい。
また、国内の新設計画は、34基となった。これらの計画・建設中のものについても、今後脱炭素時代の中では事業リスクは高いものであり、事業者が中止する賢明な判断をすることを強く求めたい。
連絡先:蘇我石炭火力発電所計画を考える会 TEL:090-7941-7655
URL:https://nocoal-tokyobay.net/soga/
特定非営利活動法人 気候ネットワーク東京事務所 TEL:03-3263-9210
URL:https://sekitan.jp Email:tokyo@kikonet.org
プレスリリースのPDFはこちら。