千葉パワーに申入れ

7月12日に千葉パワーに電話後、石炭火力新設計画に関する申入れ、そして懇談会開催の申し入れをFAXしました。検討の上、回答するとのことでした。以下に申入れ文書を掲載します。

7月12日に送付した申入れ文書では、東京湾の会が発足した経緯についての説明をし、これまでに5月16日に環境省へ、5月22日に千葉県へ、6月5日に神奈川県へそれぞれ申し入れをしたことを伝えています。その上で、事業者である千葉パワーとの説明・懇談会を実施できないか問い合わせた内容になっています。

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そして石炭火力新設計画そのものに対する申入れ文書は、以下に前文を記載/PDFを添付しています。是非ご確認下さい。

千葉パワー宛申入れ文書

2017年7月12日

千葉パワー株式会社

代表取締役 芦谷 茂 様

石炭火力新設計画に関する申し入れ

石炭火力を考える東京湾の会

共同代表:鈴木陸郎、小西由希子

富樫孝夫、永野勇

拝啓 貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

さて、2016年12月東京湾岸沿いの石炭火力発電所新設計画(袖ケ浦市に100万kWが2基、市原市に100万kWが1基、千葉市に107万kWが1基、横須賀市に65万kWが2基)が発表されましたが、私たちは「今なぜ石炭火力発電なのか?東京湾岸に新たな発電設備は必要なのか?」、という素朴な疑問がわきました。事実、千葉・神奈川両県の総発電電力量に対し、両県での電力使用実績(H28年4月~H29年1月)はその44%に過ぎず、実に56%が両県以外で使用しているのであります。

石炭火力発電は、温室効果ガスであるCO2の排出量が多いことに加え石炭中に含まれる有害物質により大気汚染物質の排出が多いなどの問題点があります。

地球温暖化対策については、2015年12月12日に採択された「パリ協定」が2016年11月4日に発効しました。日本は発効後の2016年11月8日に同協定を締結しました。

「パリ協定」は、「世界の平均気温上昇を、産業革命から2度未満、出来れば1.5度に押さえ」「今世紀後半に温室効果ガスの排出を実質ゼロ(温室効果ガスの人為的な排出と吸収のバランスを達成する)にする」「参加国は削減目標をたて、5年毎に見直す」という内容です。

石炭火力発電は、最新型の発電方式であってもCO2の排出係数がガス火力発電の約2倍であることから地球温暖化対策上の懸念があると言わざるを得ません。このため諸外国では、石炭火力発電の廃止や新増設の抑制など、石炭火力発電からのCO2排出の抑制に力を入れています。

日本は、CO2の排出量が世界第5位であり、主要な排出国です。日本政府は、温室効果ガス削減目標を、2030年までに2013年度比で26%削減し、2050年には80%削減するとしています。

2015年7月に経済産業省がまとめた「長期エネルギー需給見通し」による2030年度の総発電電力量に占める石炭火力発電の割合は26%程度、発電電力量は2810億kWh、電力由来のCO2排出量は全体で3.6億トンとなっており、これらの情報から環境省が試算した結果、2030年度に石炭火力発電から排出されるCO2排出量は約2.2~2.3億トンとなっています。

しかし2014年度の石炭火力発電の発電電力量、設備容量、CO2排出量の実績は、それぞれ2896億kWh、4944万kW、2.67億トンとなっており、既にそれらを上回っている状況にあります。

さらに、現在石炭火力発電所の新設・増設計画が多数存在し、環境省の調べによると2017年2月現在で1940万kWにものぼります。

これらの計画が全て実行され、設備利用率が70%で稼働し、かつ老朽石炭火力発電が稼働開始後45年で廃止されると仮定しても、2030年度における石炭火力発電の設備容量は約6050万kWでCO2排出量は約3億トンと推計され、2030年度のCO2排出削減目標を約7000万トン超過する可能性があると環境省は試算しています。このままでは2030年度の日本の温室効果ガス削減目標の達成に深刻な支障をきたすことが懸念されます。

 

加えて地域の環境と健康・衛生の影響について大きな心配があります。

今回の石炭火力発電の新設計画は、国の「エネルギー基本計画」(平成26年4月11日閣議決定)において、燃料である石炭については、「安定供給性や経済性に優れた重要なベースロード電源の燃料として再評価されており、高効率石炭火力発電の有効利用等により環境負荷を低減しつつ活用していくエネルギー源」と位置付けられ、石炭火力発電については、「利用可能な最新技術の導入を促進し、環境負荷の低減と両立した形で利用していく必要がある」とされている事をよりどころとしていますが、今回の東京湾岸の計画は、環境負荷が低減するどころか逆に環境負荷が増大することは明らかであります。

とりわけ、東京湾周辺においては過去に深刻な大気汚染による健康被害が発生し、硫黄酸化物や窒素酸化物による大気汚染を改善するため、発電を行う事業者等に対し、燃料に石炭や重質油を用いず、気体燃料や軽質油を使用するよう求めてきた時期がありました。

事業者はそれを受け入れLNG等への燃料転換を実施し、大気汚染はかなり改善されてきました。しかし、微小粒子状物質(PM2.5)や光化学オキシダント等はいまだ環境基準を満たしていない測定

地点が存在するなど大気汚染の改善が必要な地域であります。

この上石炭火力発電所を新設したならば公害問題が再燃するのではないのかという心配や不安が出てくるのは当然の事であります。そして、万が一にも健康被害を発生する事の無いよう、未然防止に最大限の配慮をすべきであると考えます。

 

現在でも私たち住民は既存の発電所による大気汚染物質や温排水による複合汚染の中で生活しております。今回新設される発電所により、さらなる複合汚染が起こることは明白であるにもかかわらず、複合汚染について何ら明らかにされていないことは、大きな問題であります。

2017年1月31日に、関西電力は重油・原油から石炭へ燃料転換を計画していた赤穂発電所について、石炭への燃料転換の計画を断念、3月23日に関西電力は東京湾岸に新設を計画していた市原火力発電所(石炭火力発電)の計画を断念、4月25日に、電源開発株式会社は兵庫県高砂市の石炭火力新設計画を延期しました。これらはいずれも、CO2の排出量が多い石炭火力の新設は、地球温暖化対策上問題があり、さらに今後の電力需要を考慮し採算がとれない可能性があると判断したものと思われます。

 

以上の事から、今回計画されている御社の東京湾岸沿いの石炭火力発電所の新設については、計画を取り止めるよう強く求めるものであります。

そして、節電・省エネルギーによりエネルギー使用量を抑え、環境にやさしい再生可能エネルギーの更なる拡大に向けた取組みを強化するようお願いするものであります。

以上

本件の連絡先:「石炭火力を考える東京湾の会」共同代表 永野 勇

 

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