【横須賀】2018年4月20日横須賀石炭火力発電所建設計画についての横須賀市への申し入れ

4月20日、横須賀石炭火力発電所建設計画に対して、横須賀市長に対しての申し入れを行いました。環境アセスメント準備書に対する市長意見に、住民側の懸念事項を入れてもらいたいとの要請です。

横須賀市に対する質問と石炭火力発電に対する懸念、要望事項

(1)環境影響評価準備書に関わる今後の手続きについて
市の第61回環境審議会の資料5-1によれば、事業者の見解送付後、知事からの意見照会があって市長意見が提出されるようになっている。事業者見解が3月下旬を見込んでいたようだが遅れている。今後の見通しはいかがか。また、県は公聴会は公述希望者がいれば実施すると言っている。公聴会開催についての広報などに積極的に協力すべきと思うがどのように考えているか。

(2)パリ協定について
本市は、パリ協定をどのように受け止めているか。基本姿勢を明確に示していただきたい。パリ協定後、世界の脱石炭の流れは加速しており、日本政府の姿勢は完全に立ち後れている。これは外務省有識者会合の提言でも指摘されている。COP23の会合に参加した横浜市の担当部長は、気候変動への強い危機感を感じた。これからは都市と地域の時代であり、先導することが大事だ。「温暖化対策は経済に悪影響」は昔の話で、「移行」に遅れることが悪影響だと感想を述べている。

(3)横須賀市の「低炭素で持続可能なよこすか戦略プラン」との関係について
横須賀石炭火力発電所建設計画と「戦略プラン」の整合性はあるのか。
発電所からのCO2排出量は約45万トンという指摘があるが、事業者は明確に示しているのか。それで「戦略プラン」に整合するのか。電力需要が減少しており、新たに建設する必要が本当にあるのか。

(4)燃料を石炭にしたことの事業者の説明について
環境影響評価なのだから、燃料を石炭とLNGにした場合の環境への影響の違いについて比較検討し、分かりやすく示すべきだ。そのように市からも求めてもらいたい。

①二酸化炭素の排出量
全体の排出量と市内排出量としてカウントされる量のそれぞれについて石炭とLNGの比較。
②大気汚染物質の排出量について、石炭とLNGの場合を比較。
SOx、NOx、ばいじん、PM2.5、水銀などについて)

③大気汚染物質の影響は環境基準以下であっても健康に対するリスクがあるということがいわれている。リスク評価を燃料を石炭とLNGにした場合の比較。
④燃料を石炭にした場合、使用する石炭の品質によって大気汚染物質の量が大幅に異なる。使用する石炭の明示、特に水銀含有量については、その都度明示させる。

(5)神奈川県の自動車NOx・PM総量削減計画との整合性
この計画策定にあたった専門委員は、「火力発電所の稼働率が非常に上がっている。対岸で大量に燃やして風が吹けば神奈川県で一生懸命規制しても、大量に流れてきてしまっては無駄となってしまうことがありえる」と述べている。横須賀の石炭火力発電所建設によっても「自動車NOx・PM総量削減計画」を無にすることにならないか。

(6)BATの方針との関係について
BATの方針でいえば、燃料を石炭にする選択はあり得ない。また、準備書で示された大気汚染物質の排出濃度は、現在運転している磯子石炭火力発電所の現状より高いと思われる。BATの方針に反するのではないか。市の方からも指摘してもらいたい。

(7)騒音・振動について
騒音、振動の被害を少なくするには、緑地を住宅に近い方へ配置すべきだ。騒音が基準値以内といってもギリギリの値では隣接マンションの居住者の被害は免れないのではないか。。

(8)温排水並びに排水の影響について
東京湾の海水温が上がっている。さらに水温の高い排水を出すことについての生物への影響が懸念される。もっと広範囲で予測評価すべきではないか。また、次亜塩素酸の影響や水銀の排出についても心配される。漁業者への説明をどのようにしたのか。基準値を満たしているという説明だけでは納得できない。リスク評価を求めるべきだ。磯子石炭火力発電所では、大気汚染物質の除去を乾式で行っており、これに伴う排水に含まれる有害物質の排出はない。これを見習うべきではないか。

(9)石炭灰の処理について
有効利用といっているが事業者が責任を持ってやるようには見えない。外部に搬出されればそれでいいとは言えないと思うがどうか。

(10)大気汚染物質の排出について
現状でも光化学オキシダントが基準を超えている。臨時に稼働した時期にはNOxの発生抑制の要請をしている。このような状況で光化学オキシダントの原因物質の一つであるNOxを増加していいのか。光化学オキシダント緊急時措置を2012年3回、2013年14回措置要請をしていた。

(11)バイオマス混焼について
バイオマス混焼につい準備書では具体的な回答がなかった。バイオマスは燃料の確保で自然破壊に繋がるなど大型の発電には適さない。海外調達となるとなおさら乱伐が懸念される。

(12)経済の活性化について
横須賀市としても久里浜地域の活性化は力をいれているが、排気ガスや交通問題など地域発展に逆行しないか。前市長が火力発電所ができれば雇用が増えるといっていたが、根拠はあるのか。また、千葉大学の倉阪教授の研究発表によれば、自治体の財政にとって確かに固定資産税が期待されるが、それは一時的である。再生可能エネルギーと省エネの方が持続的に財政に貢献するといっている。参考にすべきだ。

(13)再生可能エネルギーの促進と省エネのとりくみについて
再エネについては県が前向きにとり組んでいる。ソーラーシェアリングなど、市としても推進してほしい。省エネは全体として遅れているのではないか。市の施設の省エネ化を率先して推進してほしい。

(14)海洋都市のまちづくりとの関係について
静岡市長は、清水天然ガス発電所計画は同市の国際海洋文化都市をめざしたまちづくりの方向性に合わないので見直す必要があるとした発言し、事業者はこれを受け入れ計画を断念した。
本市の海洋都市のまちづくりと石炭火力発電所計画は整合するのか。

 

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